保育園で使える、1歳児の1月の月案(指導計画)の書き方や見本の記入例を紹介します。
ねらい、前月の子どもの様子や子どもの姿、環境と配慮・援助、食育、家庭との連携や職員との連携などについて、テンプレートとともに紹介しています。
保育の指導計画作成にお役立てください。
全体のねらい
- インフルエンザなどの感染症に注意し、健康に過ごせるようにする。
- 毎日元気に過ごせるように、生活リズムを整える。
- 保育者に不安定な気持ちを受け止めてもらうことで、子どもが自分の気持ちを落ち着かせて、安心して過ごせるようにする。
- うまく言葉で伝えることができない子どもの気持ちを代弁し、不安定な気持ちを保育者が受け止める。
- 簡単な身の回りのことを、すすんで自分からしようとする。
- 生活のなかで、言葉を使うことを楽しむ。
- 冬の遊びや、伝承遊びを楽しむ。
- 雪や氷などの冬の自然に興味を持つ。
前月の子どもの様子
- 食べ物を指差して、「これ、なに?」と聞く。
- 苦手な食べ物は口の中に入れたままにし、残して食べない。
- トイレに行きたくなると、もじもじする。
- 自分からパンツを脱いでトイレに行こうとする。
- 寒いので鼻水がでている。
- 鼻水がでているときに、自分でふこうとする。
- 自分で着替えをしようとするが、うまくいかず、声をあげて泣く。
- 外に出るとボール遊びをするなどして喜んで遊ぶ。
- 寒いから外には出たがらない子どももいる。
- 保育者に「ママと◯◯した」と話をしにくる子どももいる。
- 積み木やブロックで見立て遊びをして、保育者とお友だちと楽しむ。
- 保育者と一緒に、音楽に合わせて体を動かしたり、歌をうたったりすることを喜ぶ。
- お友だちが遊んでいるとそばに近づいて行き、同じ玩具で遊ぶ。
子どもの姿
- 食べ物に興味をもつ。
- 苦手な食べ物は少しずつ食べるようになる。
- トイレに行きたいと、態度や言葉で伝える。
- 自分からトイレに行こうとする。
- おまるや便器での排泄ができるようになる子どもが増える。
- 鼻水を自分でふこうとする。
- 衣類の脱ぎ着を自分でしようとする。
- 脱いだ衣服を自分でかごに入れる。
- 外で身体を動かして遊ぶことを楽しむ。
- ブランコや三輪車に乗り、楽しむ。
- ブランコ遊びのときに、座ってから自分で地面を足でけって揺らそうとする子どももいる。
- ジャングルジム、すべり台などの遊具で、全身を動かして遊ぶ。
- 保育者や年上の子どもと手をつなぎ、一緒に散歩に行くことを喜ぶ。
- 散歩のときに、冬の自然を体験し、自然物に触れ合って遊ぶ。
- 季節の変化で気づいたことや感じたことを、簡単な言葉を使って伝えることを楽しむ。
- しっぽ取りなど、簡単な鬼ごっこを保育者やお友だちと楽しんで遊ぶ。
- 保育者やお友だちに、自分の気持ちを簡単な言葉を使って伝えようとする。
- 自分の思い通りにならなくて、お友だちを叩いたり押したりするときがある。
- お友だちや保育者と見立て遊びをしながら、簡単な言葉のやりとりをする。
- 音楽を聞いて、体を動かして、保育者と一緒に歌をうたおうとする。
- 保育者に手伝ってもらいながら、手洗いをするときに蛇口を閉める。
- 手洗いをするときに、自分のそでをまくろうとする。
- おしぼりで口をふいたあとは、自分でかごに入れにいく。
- ままごと道具や人形を使った、ごっこ遊び、つもり遊びに興味を持つようになる。
- こま遊びやたこ遊びなどの正月遊びを取り入れて楽しむ。
- 絵本や紙芝居を読んでもらうことを喜ぶ。
環境と配慮・援助
養護(内容)
- インフルエンザやロタウイルスなどの感染症が流行するので、検温などをして子どもの健康観察をていねいに行う。
- 感染症がおきた場合は、保健所と連絡をし、適切な処置を行えるようにする。
- 感染症予防のため、外で遊んだあとは、手洗いをていねいにする。
- 外で遊んだあとは、手をあたためるために、湯で手を洗うようにする。
- ひとりひとりの排尿間隔に合わせてトイレに誘う。
- トイレに誘うときは、無理強いをしない。
- 子どもが自分からすすんで何かをしようとしているときは、ゆったりと見守る。
- 自分でできた、という満足感を味わえるようにするため、保育者がさりげなく手助けする。
- 外に出て体を動かして遊ぶ楽しさを実感できるように、保育者が誘う。
- 子どもの思いを受け止めるために、やりとりのなかで表情や言葉を見逃さないようにする。
環境構成
- マスクや加湿器を使用して、冬の感染症対策をする。
- 部屋の中が乾燥しすぎないように気をつけ、換気を十分に行う。
- 暖房の温度は低めに設定する。
- 園庭の小石を取り除いて、でこぼこをなくし、外で安全に遊べるようにする。
- 外で遊ぶときは、長時間にならないようにし、気温や時間に注意する。
- 手作り玩具を多めに用意し、見立て遊びやつもり遊びを楽しめるようなコーナーを作る。
- 見たて遊び用に、しゃもじやお玉のような大人仕様の台所用品を用意して、それらをS字フックに掛けられるようにする。
- シャベルやコップなどの玩具を用意し、雪が降ったときに遊べるようにする。
- お友だちと玩具を使いながら、少人数で遊べる環境を作る。
- 玩具の置き場所や片づけ場所を、子どもが届くように子どもの目線に設置する。
- ブランコなどの乗り物の周辺では、ほかの子どもが近づいてケガをすることを避けるため、危険のないようにそばについて見守る。
- 三輪車や、固定遊具の点検を行い、危険なものがないか注意しておく。
教育
- 手洗いやうがいの意味を分かるようにする。
- 手洗いやうがいを自分でできるようにしていく。
- 絵本や劇遊びを楽しめるようにする。
- 食べ物の絵カードで遊び、食べ物に興味を持つことができるようにする。
- 順番を守りながら、お友だちと遊ぶ楽しさを教える。
- 「お片付けしようね」と誘い、保育者と一緒に玩具の片付けをする。
- 寒い日も、外で体を動かして遊ぶことを楽しめるようにする。
- 延長保育を充実させるために、異年齢児と一緒に絵カードやカルタを使って楽しく遊び、ゆったりとした時間を過ごせるようにする。
- 絵本の世界や劇遊びに興味を持ち、楽しめるようにする。
食育
- 嫌いなものでも食べられるようにするために、少しでも食べられたら褒めて、一緒に喜ぶ。
- 保育者が声をかけることで、嫌いなものも少しずつ食べようとする。
- おはしを使って自分で食べられるようにする。
- 自分で食べようとして、口にいれた量が多く、口の中がいっぱいになり、飲みこめていないときがある。
- 食事を最後まで食べきることで満足感を味わえるようにするため、食事の量をひとりひとりに合わせて調節する。
- よそ見をして食べているときは、正しい姿勢で食べられるように保育者が声かけをする。
- 保育者は子どもと一緒に食事をとるようにし、保育者が食べるときに食器を持ったり、食器に手を添えたりする姿を子どもに見せて教える。
家庭との連携
- 感染症対策として、食事、睡眠を十分にとるように保護者に伝える。
- ひとりひとりの健康状態を把握するため、子どもの様子を保護者から聞く。
- 子どもの体調に変化が見られたら、早めに保護者に伝える。
- 年末年始の休み明けで気持ちが不安定になっていることを保護者に伝える。
- 子どもの生活リズムを、年末年始の休みから保育園のリズムに戻せるように保護者と連携をとる。
- 子どもの体調の変化に気をつけてもらうために、クラスで流行している感染症の病名や症状を伝える。
- 子どもが自分からすすんで何かをしようとする気持ちを大切にするために、家庭でもゆったりと見守ってもらう。
- 子どもの服装を、自分で脱ぎ着がしやすいものにしてもらうように伝える。
- 体調を崩さずに外で遊べるように、防寒着の用意をお願いする。
- 爪でお友だちをひっかいてしまうなどの子ども同士のトラブルを防ぐため、爪を短く切っておいてもらうようにお願いする。
- 親子触れ合いデーのお知らせをする。
職員との連携
- 保護者から年末年始の休み中の子どもの様子について聞き取りを行い、話し合いをして情報共有をする。
- 年末年始の休みによる生活リズムの崩れの見直しや、子どもへの関わり方について話し合いをしておく。
- 子どもの体調に合わせて、室内と屋外のどちらの遊びも対応できるように、保育者の役割分担を決めておく。
- 感染症予防の方法のため、下痢や嘔吐のときの処置方法を確認しておく。
- 子どもの居場所や行動を把握して、ひとりひとりの子どもの動きに合わせて動けるようにする。
評価・反省
- 保育者に手助けされながらも、身の回りのことを自分でしようとするようになった。
- これからも子どもの満足感や、やる気を大切に手助けしていきたい。
- 楽しんで言葉を使うことができるように、見立て遊びや絵本を見ることを、今後より多く取り入れていきたい。
- 体調を崩す子どもが多かったので、室内遊びを多く取り入れるようにした。
- 年末年始の休み明けで気持ちが不安定になりがちだったので、朝の受け入れを大切にし、保護者と密に連絡を取り合うようにした。
- 気持ちが不安定になっている子どもには、一対一の対応を心掛けることで、気持ちを落ち着かせることができた。
- お友だちと一緒に遊ぶ楽しさを分かるようになってきたと同時に、トラブルも増えてきたので、それぞれの子どもの気持ちを受け入れながら仲立ちをして関わった。